2) 専門医による腎・泌尿器疾患の診療
当院でよく経験される腎・泌尿器疾患について、以下の順に簡単にご説明させていただきます。
① 慢性腎臓病
➁ 尿潜血
③ 膀胱炎
④ 尿路結石
➄ 前立腺肥大症
⑥ 過活動膀胱
① 慢性腎臓病
尿蛋白や腎臓の数値が悪いと言われたことはありませんか?それは、ひょっとしたら、慢性腎臓病かもしれません。
慢性腎臓病は頻度の高い病気です。CKDガイド2024によると、日本の慢性腎臓病の患者数は約2000万人(成人5人に1人)とされています。
しかし、実際の所「腎臓病は専門性の高い病気」と考えている医師は少なくありません。
慢性腎臓病には、以下のような特徴があります。
- 症状が乏しく、気付きにくい。
- 腎臓の働きは、回復しにくい。
- 尿蛋白が増えて、腎臓の働きが落ちるほど、透析や心臓病のリスクが増える。
- 腎不全に進むと、むくみ・貧血・電解質の異常・骨の病気などの合併症が現れやすい。
- 腎臓の働き次第で、お薬の減量や中止が必要になることもある。
これに対して、腎臓専門医による診療の特長は以下の通りです。
- 尿蛋白を減らし、腎臓を長持ちさせて、透析を先延ばしにする治療ができる。
- 結果的に、心臓病の予防にもつながる。
- 腎不全の合併症にも対応できる。
- 腎臓の働きに応じたお薬の服用方法が提案できる。
- 簡単な食事内容について説明ができる。
- 将来の透析導入時期の予測や透析の説明ができる。
ちなみに、慢性腎臓病は、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病とも関係が深いです。慢性腎臓病の人が透析になる原因は、1位が糖尿病で、2位が高血圧症です。腎臓を長持ちさせるには、生活習慣病の治療も大変重要になります。勿論、当院は生活習慣病の治療経験も豊富です。
腎臓専門医の診療は、奈良県では殆んど基幹病院でしか受けることができません。しかし、当院ならご自宅近くで受けることが可能です。腎臓のことで悩んでおられる方は、一度受診をご検討ください。
➁ 尿潜血
健診などで尿潜血を指摘された方に対して、当院では血尿診断ガイドラインに沿って、精査を行っております。
まずは問診を行い、尿検査で血尿を確認します。血尿が確認されれば、原因としては、腎臓内科的疾患、泌尿器科的疾患が考えられますので、さらに、尿細胞診、血液検査、腹部超音波検査なども行っていきます。
③ 膀胱炎
女性で、排尿時痛、頻尿、尿意切迫感、残尿感、尿混濁、下腹部不快などの症状がある方は、膀胱炎かも知れません。膀胱炎は尿路感染症で、細菌が膀胱の粘膜に付着して炎症を起こすことで生じます。放置すると、腎盂腎炎になって高熱や腰痛が出ることがありますので、早めに治療を受けましょう。
当院の院内検尿は、蛋白・潜血・糖だけでなく、白血球・亜硝酸塩などの測定も可能ですので、膀胱炎のより正確な診断が可能です。
④ 尿路結石
突然、血尿や腰痛などが出た方は、尿路結石の可能性があります。尿路結石の腰痛は、石が尿の流れを妨げて、腎臓に圧力がかかる結果生じます。放置すると、腎臓の働きが落ちることもあります。
当院では、状況に応じて、尿検査、血液検査、腹部超音波検査、レントゲンなどを行って診断します。尿路結石はサイズや腎臓の状態などによって治療方針が検討されます。
➄ 前立腺肥大症
中高年の男性で、頻尿、尿勢低下、残尿感、尿意切迫感、切迫性尿失禁などの症状がある方は、前立腺肥大症が疑われます。
前立腺は男性のみに存在し、膀胱の真下の尿道(膀胱内の尿を体外へ排出するための管)を取り囲むように位置しています。前立腺肥大症は、その前立腺が大きくなり、尿道を圧迫することによって、諸症状が現れます。
前立腺肥大はかなり進行すると、尿閉と言って、自力で排尿ができなくなり、腎不全に至る場合があります。その場合は尿道から膀胱へカテーテルという医療用の管を入れて、尿を体外に排出する処置を行うとともに、入院が必要となります。そうならないためにも、早めに検査、治療を行いましょう。
当院では、問診、尿検査、血液検査、腹部超音波検査などを行うことによって診断します。治療は、尿道を広げるお薬や前立腺を縮めるお薬などとなります。
⑥ 過活動膀胱
尿意切迫感、頻尿、切迫性尿失禁などの症状がある方は、過活動膀胱の可能性があります。過活動膀胱は、膀胱をコントロールする神経の異常によって、突然の尿意を繰り返す病気です。
当院では、問診、尿検査、腹部超音波検査などを行うことによって診断し、お薬の治療を検討します。