良い医療とは何か? その答えに正解はありません。患者さんの価値観、医療従事者の考え方、医療機関の方針によって、見解は大きく異なるからです。
では、当院が目指す医療とは何か? 当院は、理想論や崇高な志を掲げるのではなく、具体的かつ現実的な医療を目指しています。一言で申し上げるなら、当院は、
「まじめで良心的なクリニック」
でありたいと考えています。
当院では、自分自身が受けたくない医療を患者さんに勧めることはありません。診療所での診療継続が適切でないと判断した場合は、速やかに総合病院などの専門医療機関へご紹介します。経営のために患者さんを引き留めるようなことはせず、常に患者さんの利益を最優先に考えています。
- 総合病院への紹介

先日、当院の診察で脳梗塞が疑われた際、当院から総合病院に紹介した患者さんがいました。最初、総合病院の担当医はなぜ脳梗塞を疑ったのか分からなかったようですが、結局、直後の頭部MRIで脳梗塞が見付かり、緊急入院となりました。
診療所は総合病院と比較して、検査の設備が限られており、常に専門医に相談できる環境ではありません。それでも、ある程度の診断を行う責任があると考えています。そのため、空いた時間には常に最新の医学情報をアップデートするように努めています。
紹介状一つにしても、総合病院の専門医に納得いただけるよう、丁寧に記載しています。
医師にとって経験は重要ですが、最新の医学情報をアップデートすることも非常に重要です。医学情報の増加速度は年々増加しており、倍になるのにかかる期間は、1980年代には7年でしたが、現在はわずか70日とされています。このような状況では、医師は経験だけに頼ると独善的で時代遅れになる可能性があります。当院では、最新のガイドライン等を理解したうえで、個々の患者さんに合わせた治療をご提案しております。それは患者さんからは見えにくい部分かも知れませんが、医師としての責務と考え、手を抜かず取り組んでいます。
もっともなご批判には、真摯に受け止め、誠意をもって謝罪し、速やかに改善いたします。一方で、事実と異なるご批判や、筋の通らない要求に対しては、当院の方針・立場・考え方等を知っていただくためにも、理路整然と反論する必要があると考えています。
近年はどのようなご批判に対しても、謝罪すべきとの風潮があるようですが、それは医療機関と患者さんが対等であるという前提を忘れた考え方です。そのような姿勢は、カスタマーハラスメントを助長し、感染対策を含めた院内管理を困難にし、医療の質にも影響を及ぼす可能性があります。
当院では、感染症の症状のある方とない方で動線を分けることで、院内でのエアロゾル感染や飛沫感染のリスクを最小限に抑えるよう努めています。
当院の感染対策は比較的厳格であるため、賛否両論があることは重々承知しております。しかし、当院にとって最も重要なのは、高齢者や生活習慣病など重症化リスクの高い患者さんを院内感染から守ることです。ご協力いただけない場合は、診察をお断りすることがあります。
感染症の症状の有無で動線を分離していない医療機関では、院内感染のリスクが常に存在することになります。
当院では、患者さんの訴え一つひとつに、時間の許す限り、耳を傾けています。日頃から情報をアップデートしているため、比較的広い分野の対策を、できるだけ患者さんの希望に沿った形でご提案することが可能です。
- 患者さんの希望に対して

患者さんの希望には、できる限り沿いたいと考えています。ただし、希望の中には、患者さん自身の健康に不利益をもたらす可能性のあること・他の患者さんに迷惑がかかること・院内管理に支障が生じること・法律に違反することなどが含まれる場合がありますので、全ての希望に沿うことはできません。
例えば、無診察投薬を希望する方が時々おられますが、無診察投薬は医師法違反であり、患者さんも医師も書類送検された事例があります。当院では違法行為は一切行いません。
また、予約外で来院された方が「自己都合で急いでいるから、他の患者さんより早く診て欲しい」と主張したことがありました。当院は順番通りの診察を原則としており、他の患者さんとの公平性を守るためにも、このような要求には応じておりません。このような対応をしないと、「強く言えば早く診てもらえる」という誤解を招き、診療の秩序が乱れてしまいます。
その他の具体例は、「禁止事項」のページでもご紹介しておりますので、ご参照ください。
インフォームドコンセントとは、検査や治療などの医療行為について、患者さんが充分に理解した上で、自らの自由意思に基づいて、同意・拒否することを指します。これは、患者さんの自己決定権を尊重する、現代医療の基本的な考え方です。
しかし、現代においても、医療機関の規模に関わらず、インフォームドコンセントが軽視される場面も見受けられます。例えば、患者さんに十分な情報を提供せず、患者さんやご家族の意向を否定し、医療従事者の方針に一方的に従わせようとするような対応です。このような姿勢は患者さんの不信感を招き、トラブルの原因にもなりかねません。
当院ではインフォームドコンセントを重視していますので、ご安心ください。例えば、患者さんに新しいお薬を提案するとしても、必ずそのメリット・デメリットを説明し、患者さんのご意向を伺うようにしています。
当院は、「まじめで良心的なクリニック」を目指し、日々の診療に誠実に取り組んでおります。
そのためか、かかりつけ患者さんは、まじめな方が多く、医療従事者も多くいらっしゃいます。例えば、某医大元教授、歯科医師、薬剤師、看護師、理学療法士、某医大放射線技師など、今も医療の現場でご活躍されている方々です。
また、当院のスタッフは、まじめで責任感のある方ほど、長く勤務してくださっています。
たとえ小規模の医療機関であっても、私たちは医療従事者としての誇りを持ち、患者さんにとって信頼できる医療を提供できるよう努めたいと考えております。